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2008/11/16 Sun 19:02
近藤昭一メールマガジン第78号(再開第8号)
近藤昭一メルマガ第78号(再開第8号)
(‘08.11.16)
9日、NHKの「日曜討論」に出た。初めての生出演でもあり、限られた時間で思う
ように考えを伝えるのは難しいなあという感じであった。
自分としては事前に課せられていた課題についてそれなりに考えをまとめておいた。
まあ言うなれば予習をしっかりしておいた。しかし、与えられた時間も一人につき大
体一分間、その時間になると目の前のランプが点灯する。時間のわりに課題が多いな
あという感じも持った。それでも、求められるままに必要最小限のことだけは話す戦
術に変更し、がんばった。もっと時間を独占してでも話せばよかったかな、と終了後
反省もしたが、先にも述べたように「初めてのことであり、まずはこのくらい」とい
う感じである。
「オバマ氏の勝利の意味」がまだ分からないという段階での「討論会」であったせい
もあると思う。全体的に無難で紳士的で与野党の争点もあまりないことになってし
まった。
言いたいことの半分はおろか、ほぼ何も主張できなかったわけだか、今回私が、主催
者NHK側が課したテーマに対してまとめた見解は以下の様なものであった。
その後の数日を観ても、世界は大きく変わろうとしている、という実感は深まるばか
りである。今この時期に、メルマガ読者の皆様に、メモ書き体裁で申し訳ないが、多
少加筆修正して私の思いをお伝えしたいと思う。
*課題は以下の4点だった。
○ アメリカ新政権とどう向き合うのか
→オバマ新大統領をどう受け止めるか
・ 今回の選挙、アメリカ国民は閉塞感漂う現状を否定し、新たな価値観に基づ
く政権の選択をした。オバマ氏の当選に民主主義の原点を見る思いがした。
・ アメリカ国民が何に対し拒否感を表したのか。9.11事件以降、アメリカ
は、いわゆる「テロとの戦い」を標ぼうし、「敵か味方か」という二元対立論で、国
際関係をリードしてきた。しかし、その結果が4千人以上の米兵とさらに多くのイラ
ク国民を犠牲にしたイラク戦争、そして混迷を極め出口の見えないアフガニスタン情
勢ということだった。また、経済に目を向けても、市場原理主義と規制緩和が生み出
したバブル経済のつけが金融危機という形でアメリカのみならず世界中に危機をもた
らしている。アメリカ国民はこうした現状に対し「ノー」を突きつけたわけだ。
・ オバマ氏は、「リンカーン米大統領が言った『人民の人民による人民のため
の政治』は、なお滅びていないと証明された。みなさんの勝利だ」と述べた。今、ア
メリカの政治は市民参加型の政治に変わろうとしている。
・ オバマ氏は勝利演説において、「アメリカの真の強さは、軍事力や経済的豊
かさではない。その理想の持つ力なのだ」と述べ、「強いアメリカ」による軍事・経
済の両面における一極支配の時代への決別を宣言した。
・ また、オバマ氏は「みなの声に耳を傾ける」と約束し、国際協調の重要性を
訴えている。温暖化対策や核拡散の防止などの課題においても、米国を軸とした国際
協力が欠かせない現実を考えると、まさに時代の要請であると考える。
・ アメリカが今、内外で直面する危機からの脱局は決して容易ではない。しか
し、オバマ新大統領がこれらの問題に真摯な姿勢を持って取り組んでいくことに対
し、アメリカの重要なパートナーたる日本の国会議員として大きな期待を持っている
と同時に、協調の精神の下、両国間の協力関係の強化に努めていきたいと考える。両
国民にとって希望に満ちた関係を築きたい。
○ 「テロとの戦い」と日米同盟
→給油活動継続の是非は 法案審議は
・ 法案審議において、給油活動を継続しなければ日米間のみならず国際社会と
の信頼関係に悪影響を与えるという議論が先行しているが、2001年から続く、一連の
テロ対策特別措置法はアフガニスタンで起きている人道的危機に対する対策として始
まったことを忘れてはいけない。当然、7年たった現在においても議論のスタート
は、現在アフガニスタンで何が起こっているかに目を向けることから始めるべき。
・ 今月3日、アフガニスタン南部において誤爆によって結婚式に参加していた子
供23人を含む37人が死亡したと伝えられている。昨年来、カルザイ大統領も空爆の停
止を度々求めてきたわけで、今月5日も、カルザイ大統領は、オバマ氏の当選を祝福
しながらも、一般市民を巻き込むような攻撃に直ちに終止符を打つように求めたいと
述べている。少なくとも旧法の下では、アフガニスタンへの攻撃に従事する強襲揚陸
艦や空母打撃群の艦船に対しても海上自衛隊の補給艦が給油を行っていた事実が明ら
かになっている。
既にアフガニスタン政府がサウジアラビアを仲介に立てるなどとして、タリバンとの
和解に向けて動き出していることは広く伝えられている。また、先月末から、米政府
の高官、大統領報道官などから、ブッシュ政権がタリバンとの直接対話の検討に乗り
出したことを示唆する発言が続いている。そして、つい最近、中央軍司令官に就任し
たペトレアス米陸軍大将も対話路線を支持しています。対話路線への変更は今後、着
実に進んでいくだろう。
・ オバマ氏はかねてからアフガニスタンこそが「テロとの戦い」の主戦場であ
ると、10月22日に、アフガニスタンに対し兵を増派する意思を改めて表明している。
これは、対話路線への変更と矛盾するものではないし、彼は、軍事だけではない多角
的な政策を推進するとも言っている。空爆を戦術の一環として組み込んだ攻撃的な布
陣から、治安維持を目的とする防御的布陣への変更には、より多くの陸上兵力を必要
とすることは軍事の常識でもある。
・ ペシャワール会の中村哲さんは、今年の冬、アフガニスタンでは500万人の人
が干ばつのため、飢餓線上をさまよい、20万人の人が命を失う危険性があると指摘し
ている。治安状況の悪化が続く中、アフガニスタンでは今も日本を含む数多くの民間
支援団体が活動をしていることを忘れてはならない。彼らの活動を下支えすること
に、より一層の努力を図るべき。
→田母神前航空幕僚長の発言の影響は
・ 航空自衛隊の長たるものが、政府の歴史認識を真っ向から否定する論文を発
表したことに憤りを感じる。
・ また、以前から、同様の論文を発表し発言を繰り返していたようであるが、
そのような人物が昇進を繰り返していたことは文民統制が機能していないことを証明
している。政府は懲戒免職も可能であったはずなのに行わなかった。
・ 自衛隊が日本の防衛という重要な任務にあたっているとの認識から、防衛庁
から防衛省になる際、私も賛成したが、その後の海外派遣一辺倒の一連の動き、漁船
との衝突や暴行事件を含む多発する事件を、非常に残念に思う。
・ 防衛大臣には任命責任がある。また、今回は教育の一環として、組織的に懸
賞論文に参加させていたことが明らかになったが、何らかの意図でもあるのか。そう
であるならば、先の戦争から我々は何を学んだのか。そこから改めて考える必要があ
ると思う。
・ 民主的統制をいかに図るかが今後の最大の課題である。民主党は、幕僚長の
任命を国会の同意事項とする自衛隊法の改正を考えている。アメリカでは合衆国法典
に基づき、少佐以上(陸上自衛隊では中隊長クラス以上に相当)の将校全員が上院議
会の承認人事となっている。また、参謀会議議長などの上級将校については、上院軍
事委員会における指名公聴会を経て、上院本会議において承認手続きが行われる手順
になっている。
→国連中心主義か日米同盟か
・国連至上主義でもない日米同盟一辺倒でもない、国連を中心とする国際協調主義に
基づく国際関係の構築に努めるべきと考えている。
・ いわゆる「日米同盟」については、原点に戻り日本の防衛という目的に限定
した形で考えるべきである。よって、イラクやアフガニスタン、そしてインド洋など
の日本から遠く離れた地における自衛隊の活動は「日米同盟」の枠内で考えるのでは
なく、全く別個のものとして考える必要がある。
・ 日本の防衛政策が、専守防衛の原則に基づくものであることは言うまでもな
い。また、東アジアもしくはアジア全体に視野を広げれば、相互間の信頼に基づく地
域集団安全保障体制の構築を長期的目標として掲げるべきと考える。その際、米国が
地域集団安全保障体制の一員として参加することが望ましいと考える。
・ 国連を中心とする国際協調主義は、安保理決議至上主義ではない。決議が求
める行動の実施の要否は日本が主体的に判断すべきことである。その際、当然、憲法
上の制約は考慮されるべきと考える。
・ 国際協調を求めるオバマ政権の誕生は日本にとっても他のアジア諸国にとっ
てもチャンスであると思う。日本の戦後外交の三本柱(西側/国連中心/アジア重視)を
もう一度、確認したい。
→米軍再編 沖縄基地問題への対応は
・米軍再編はあくまでアメリカの国家戦略の一環であることを認識すべきあると考え
る。しかし、日本、特に沖縄における基地負担の軽減は当然歓迎されるべきものであ
り、時代の流れである。
・ グアム移転費用が当初の見積額より大幅に膨らむ見込みであるが、日米両政
府が合意した日本側負担の上限60億9000万ドルが上方修正されることはあってはなら
ない。
・ 普天間基地の辺野古への移転が、グアム移転計画とリンクされているわけで
あるが、普天間基地の移動計画が当初の予定通りに進まないとしても、その他の在沖
海兵隊基地のグアムへの移転は進められるべきと考える。
・ また、辺野古への移転計画をゼロベースで考え直すことから始める必要があ
ると思う。嘉手納基地との統合も含め、住宅地の真っただ中に位置する普天間基地の
閉鎖は最重要課題であると私は思う。
○ 北朝鮮問題への対応は
→米朝直接対話重視 オバマ外交の影響は
・ 対話重視路線を表明したからと言って、外交が軟弱になるとは考えていな
い。外交の本質は「対話と往来」である。これまでの8年が一国主義の下、「対話と
往来」すなわち「外交そのもの」が軽視されてきた風潮がある。アメリカ外交が外交
の原点に戻ることは歓迎すべきことと考える。
・ オバマ氏が、「テロ指定国解除」発表直後に声明を出し、「北朝鮮は日本人
や韓国人の拉致をめぐるすべての疑問を解決しなければならない」と指摘している。
今後、オバマ新大統領がこのことを踏まえた形で対北朝鮮問題に関する政策判断をす
ること、そして、日本政府との緊密が連携を維持することを強く望む。
→拉致問題解決の糸口をどう見出すか
・「拉致問題の解決なくして国交正常化なし」である。しかし、小泉内閣や福田内閣
が掲げた包括的アプローチに私は賛成である。「国交正常化の交渉なくしては拉致問
題の解決も近付かない」ではないか。拉致問題の進展に関しては、北朝鮮の具体的な
行動を確認した上、こちらも対応していくという先の福田政権のやり方を継承すべき
と考える。
・さまざまな約束が取り交わされた。北朝鮮にそれらを安定的、継続的に実行に移す
誠意ある対応が見られなかったことを私は残念に思う。しかし、「圧力(制裁)と対
話」を否定するわけではないが、そればかりを強調するところに日本外交の硬直さ狭
隘さがあるように感じる。古来「和戦両用」は外交の常道である。当たり前のことな
のである。しかし、あたり前の教科書のお題目を何回念仏のように唱えても現実は一
歩も前進などしない。「常道」は原則的前提として、その上で具体的現実的に何をし
ていくのかと問題を立ててこそ、事態は前進する。「和戦両用」だが、その本意は、
主は和、すなわち平和である。戦争を回避することこと、政治の要諦である。そのた
めにも6カ国協議の枠組みの維持が重要である。
○ アメリカ発金融危機への対応は?
→民主党政権で日米経済関係はどうなるのか
・どうなっていくかは現時点ではわからない。オバマ政権は新自由主義と野放図な市
場原理主義を否定した。日本としては予断と偏見で対応してはいけない。
そもそも、「経済」こそ「実体の世界」であったのに、新自由主義は「経済」を「虚
像の
世界」へと登り詰めさせてしまった。そのツケが来ている。
・しかしオバマ氏が急激な変革を図るとすればそれはかえって危険だと思う。世界恐
慌前夜とも言われる複雑で多極的な事態なので薄氷を踏むような対処が必要だと思
う。オバマ氏は労働者重視の姿勢を示している。これから実体経済を重視した国内の
積極的な雇用対策をしてくだろう。その意味で、いくらか保護主義的なところでは出
るだろう。現在の貿易赤字の最大の相手国は中国であり、中国に対しては、対ドル元
レートの切り上げ等を求めてくるだろう。しかし、日本との関係においては分業と相
互依存がかなり進んでいるということに着目すべきである。よって、日米経済関係に
関しては、対米輸出に依存している産業などを除いて、比較的影響が限定的かもしれ
ない。
・ しかし、今世界が必要なのは、虚実を見極める目である。冷静沈着さと理性
的な分析力である。その点でもオバマのキャラクターは秀逸だと思う。よく観察し、
一喜一憂せず、沈着に、一歩一歩今の危機的な局面から抜け出していくことである。
→世界金融危機に日本ができることは
・ 米国発の金融危機によって先進国、途上国を問わず多くの国が危機的な状況
に陥っている。国際通貨基金(IMF)や世界銀行に途上国の開発・発展という点か
ら見ればさまざまな問題、課題があることはかねてから指摘されていた。この際、世
界の貧困問題の解決に資するような組織への変革が必要と考える。
・ 当面の国際的な金融危機対策としては、IMFの役割を拡大し、世界金融シ
ステムの安定を先導する存在として位置づけ、ヘッジファンド、租税回避地(タック
スヘイブン)など「抜け道」と指摘されてきた分野ももれなく規制、監督の対象にす
ることが重要と考える。
・ 現在、IMFが緊急融資できる額は2000億ドル(約20兆円)程度ある
とされているが、各国からの相次ぐ支援要請によって、資金不足に陥る可能性があ
る。日本や中国などが潤沢な外貨準備の一部をIMFに貸し付ける案を検討している
とのことであるが、慎重な検討を必要とするものの実施に向けての準備は進めるべき
と考える。
○ 日本はどんな国を目指すのか
・ 国際協調を外交方針の基本とする、軍事大国にならない。人類を破滅へと向
かわせる環境問題に取り組み、緑豊かな、文化とモラルを大切にする「国土は小さい
がキラリと光る国・日本」を目指す。
・ 高齢者を大切にする。子どもたちを社会がはぐくむような優しさにあふれた
国作りが必要である。誰もが働く自由と権利を保障され、がんばれば生活していける
社会、富が一部にだけ偏らず、政治や行政に無駄遣いのない公平な社会を目指す。
・ オバマ氏は、09年末の合意を目指すポスト京都議定書の議論にも積極的に
関与する姿勢を示している。日米が協調して国際的な環境問題への取り組みを主導す
るようになれるように両国が努力すべきである。 「環境問題」が将来、国際の平和
と安定を脅かす最大の脅威になるであろうことは多くの専門家によって指摘されてい
る。「テロとの戦い」ではなく、「温暖化対策推進の戦い」を日米両国が連携して取
り組むことが重要と考える。
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