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2008/11/05 Wed 22:34
政治経済レポート:OKマガジン(Vol.179)2008.11.5
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政治経済レポート:OKマガジン(Vol.179)2008.11.5
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参議院議員・大塚耕平(Ohtsuka Kouhei)がお送りする政治経済レポートです(大
塚耕平のプロフィールは末尾に掲載しています)。このマガジンは、1.OKマガ
ジン配信希望登録者、2.大塚耕平が名刺交換させて頂いた方々にお送りしてい
ます。配信中止をご希望の方は、恐縮ですが、1.下記のメールアドレスにその
旨をご連絡頂くか、2.大塚耕平のホームページの配信中止画面に入力をお願い
致します。バックナンバーはホームページに掲載しています。
kouhei@oh-kouhei.org
URL=http://www.oh-kouhei.org/
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オバマ氏が大統領に当選しました。祝意を表したいと思います。4年前の民主党大
統領候補指名大会(ボストン)に出席しましたが、その際、壇上で演説していた
のは上院議員の「候補」であったオバマ氏(当時は州議会議員)。アッという間
に大統領に上りつめました。米国のスピード感、ダイナミズムに感服します。
新大統領の最初の腕の見せ所は、深刻化、長期化する金融危機対策です。しかし、
今世界で起きていることは単なるバブル崩壊ではなく、世界の政治経済の新しい
秩序を模索する動きと捉えるべきでしょう。
1.自業自得と円建て債
今月中旬、金融サミットがワシントンで開催されます。サルコジ仏大統領は、米
国一極主義を転換して、新ブレトンウッズ体制を目指すと明言。世界の政治経済
の覇権を米国から欧州にシフトさせると意気軒高です。
米国のカジノ資本主義を批判するサルコジ仏大統領のパフォーマンスは、欧州が
今回の金融危機の被害者のような印象を与えていますが、実際は大いなる共犯者。
とくに直近2年間は主犯とも言えます。
2006年9月、アマランスという米ヘッジファンドが破綻。前年から住宅価格下落が
始まり、バブル崩壊を懸念していた米証券取引委員会(SEC)は、これを契機にヘ
ッジファンド規制を強化。
ヘッジファンドへの投資家に対し、100万ドル以上の純資産、20万ドル以上の年間
所得という従来の条件に加え、投資可能な自由資産250万ドル以上という新たな条
件を課しました。
その際、欧州委員会は「規制強化は投資家の利益を損なう」として米SECの動きと
逆行。規制強化を見送り、投資資金の欧州への呼び込みを企図しました。
以来、ヘッジファンドを中心とする投資資金は米国から欧州にシフト。その結果、
欧州の被害が拡大し、欧州各国政府や中央銀行の対応が大規模で迅速という構図
になりました。
言わば自業自得。サルコジ仏大統領の発言は割り引いて受け止める必要があります。
外交は虚々実々の駆け引きの場。金融サミットでは単なる欧米協調や追随ではな
く、日本は独自の主張を行うべきです。
麻生首相は先月30日の記者会見で、国際的な金融機関監督の仕組みをつくること
を提唱。結構なことですが、問題は実効性。日本が主導する監督組織を東京に開
設すべきです。
金融危機対策として日本の資金負担も求められます。IMF、世銀、あるいは欧米各
国や新興国に資金支援を行う場合、被支援側が円建て債を発行することを義務付
けるべきでしょう。
円建て債は、過度の円安抑制対策になるうえ、円の基軸通貨化にも資するスキー
ムです。もうそろそろ、国際社会の「便利な財布」の役割を果たすことに歯止め
をかけなくてはなりません。
国際協調と戦略的な対応を両立させる今後の日本の基本方針として、日本に援助
を求める場合には円建て債発行を条件とすることが必要だと考えます。
日本は、金融サミットで、(1)日本主導の監督組織の東京での開設、(2)円建て債発行
を条件とした資金支援を強く主張することを求めます。麻生首相のお手並み拝見
です。
2.英国名宰相デズレリーの名言再述
その麻生首相ですが、第2次補正予算編成に向けて、総額27兆円の経済対策を発表
しました。金融危機の影響が実体経済に及ぶことが懸念される中、経済対策を行
うことには賛意を示したいと思います。
しかし、その内容は手放しでは評価できません。基本的な問題点を3つ指摘します。
ひとつは、国民に対する説明のあり方です。メルマガVol.169(2008.6.10)で英
国名宰相ベンジャミン・デズレリーの名言をお伝えしました。曰く「嘘には3つあ
る。軽い嘘はただの嘘。重い嘘は真っ赤な嘘。最も罪の重い嘘は政府の嘘」。
今回の経済対策は事業規模ベースで27兆円。実際に政府が財政支出を行うのは5兆
円。27兆円というイメージが浸透すると、「27兆円も経済対策を行ってもこの程
度か」とう心象につながるリスクがあり、今の局面では逆効果です。
もうひとつは、すぐにできる対策ばかりではないという点です。法律改正や来年
度にならないとできないものが、たくさん含まれています。指摘すればキリがあ
りませんが、1点だけ例をお示しします。
「介護報酬改定による介護従事者の処遇改善」という項目では、介護報酬改定プ
ラス3%が強調されています。しかし、介護報酬改定は、来年4月からの改定を目
指して9月にスタートした介護報酬分科会(厚労相の諮問機関である社会保障審議
会の分科会)で検討中。
今回の対策に盛り込んだということは、分科会の結論を今月中にも前倒しで出す
ということでしょうか。しかし、実際にはそのようには聞いていません。
ついでで恐縮ですが、この介護報酬改定の財源は保険料引き上げで賄うことにな
っています。これでは、経済対策にもなっていません。家計の負担増であり、む
しろマイナスです。
「総額27兆円の経済対策で介護報酬3%アップ」と聞けば、当然、介護政策の予算
増というイメージ。ここにも意図的な「政府の嘘」が垣間見えます。
3.ホッチキス政策と政治主導
もうひとつの問題は、政策の企画立案が政治主導になっていない点です。これが
最大の問題と言えるでしょう。
日本の官僚は優秀です。最近はやや劣化しているとは言え、日本の官僚組織は世
界に誇るシンクタンクです。とくに、高度成長期のように、方向性が定まってい
る局面では官僚組織はその力を大いに発揮しました。
しかし、今日のように、世界の政治経済が新しい秩序を模索し、日本の社会や経
済もビジネスモデルの転換を求められる局面では、官僚組織はあまり力を発揮で
きません。
官僚も基本的にはサラリーマン。1年か2年のローテーションで人事異動する彼ら
には対応できない局面です。新しい秩序やビジネスモデルの成果を確認するには5
年、10年という歳月がかかります。政治主導でなければ舵取りができない局面です。
こういう局面こそ、官僚の出番ではなく、政治家の出番。ここで働かなくては政
治家の存在意義はありません。
その大事な場面での今回の経済対策。具体的な政策決定プロセスやタイミングの
精査もせず、お家芸の「政府の嘘」に頼った大本営発表の内容は頂けません。
残念ですが、明らかに、各省庁が来年度に向けて検討中の通常の政策を官邸に集
め、それをホッチキスでとめただけの内容です。金融危機に直面し、新しい秩序
とビジネスモデルを模索する局面での政治主導の経済対策には全くなっていません。
麻生首相の祖父は吉田茂首相、そして数代前の祖先は大久保利通翁。いずれも日
本の転換期の舵取りを政治主導で行いました。麻生首相には、毎晩ブランデーと
葉巻にいそしみ、週にマンガを20冊読み、週末にゴルフをする時間があるならば、
もう少し真剣に考え、悩んで頂きたいと思います。
この局面でそれができなければ、首相としてばかりでなく、政治家としても存在
意義が問われます。
(了)
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大塚耕平プロフィール
▼1959年名古屋市生まれ。名古屋市立田代小学校卒業(1972年)、同城山中学校卒
業(1975年)、愛知県立旭丘高校卒業(1978年)、早稲田大学政治経済学部卒業
(1983年)、早稲田大学大学院博士課程修了・博士号取得(2000年、専門はマク
ロ経済学、行財政改革論)。
▼現在、中央大学大学院客員教授(公共政策研究科)、早稲田大学客員教授(総合
研究機構)。所属学会は、日本財政学会、地方財政学会、日本公共政策学会、公
共選択学会。
▼1983年日本銀行に入行し、旧営業局(現在の金融市場局、決済機構局、金融機構
局)、システム情報局調査役、政策委員会室国会渉外課調査役等を経て、2000年1
2月に退職。2001年7月の参議院議員選挙で初当選、現在2期目。民主党の参議院政
策審議会会長代理、政策調査会副会長。
▼この間、(社)名古屋青年会議所の政策系委員会アドバイザー、地球市民会議・リ
ンカーンフォーラムのコーディネーター、首相公選の会(日本政策フォーラム)
の推進リーダー等も務める。
▼家族は妻と一男一女。中学校以来バレーボール部に所属。趣味はスキューバダイ
ビング(PADIインストラクター)、家族とのスキー、キャンプ。
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大塚耕平事務所
〒464-0841 愛知県名古屋市千種区覚王山通9-19-2F
TEL 052-757-1955 FAX 052-751-8113
〒100-8962 東京都千代田区永田町2-1-1 参議院議員会館705号室
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kouhei@oh-kouhei.org
URL=http://www.oh-kouhei.org/
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